モラルハザード

第8話

私は名古屋から実家のある町田へ帰るときにさんざん高速バスを利用しました。

横浜市あざみ野に名古屋駅行きバスの停留所があり

当初は首都高速が渋滞の場合はここで降りて渋谷へ向かっていましたが

のちにここから直接町田へ帰るようになりました。

現在はあざみ野の他にも用賀に降車場があり、ここから階段を下りて

田園都市線に乗り継いで渋谷へ向かえるようになっています。

そんな私は高速バスを危ないとは思っていませんでした。

しかし今回の関越道バス事故には驚かされました。

法令違反や福利厚生などほとんど無視の経営実態であったことばかりか

それが業界全体に蔓延していたことです。

しかもそれがバス業界どころか社会全体だったため、

私が話した働く人の実態も決して誇張ではなかったと理解してくれました。

名古屋ではよく聞かれる言葉ですが「法令を守ってりゃ利益は出ない」

例えば東京名古屋間を例にとってみましょう。

片道で新幹線なら10,950円、JRの高速バス正規運賃ですと6,300円です。

これに対してツアーバスは最高値で4,500円。最安値で2,800円です。これでは勝負になりません。

JRも早期割引運賃やネット割引などあの手この手で集客に努めており

早期割引運賃では2,400円からあります。

これは東名経由の運賃で、中央道経由であれば京王が新宿名古屋間で3,300円の切符を出しています。

さらに東京名古屋間のように距離が短く運転手が一人でもいいという区間はたくさんあります。

当時の国土交通省の規定では670キロまで一人で運転してもいいというので、

これだと東京から神戸若しくは青森までなら

1人で運転しても許されることになります。

JRバスの場合は、東京名古屋間なら東名静岡インターで運転手が交代します。

(新東名経由の超特急便などまれに交代しない便もあります)

大阪行きの場合は三ケ日インターで乗務員が交代します。

このため、東名静岡インターの出入り口の高速側にはロータリーがあり、その一角に

JRバスの営業所があってそこに運転手がつめています。

私が見る限り別段変わった様子もなく、むしろ遅れて申し訳ないという

プロ意識が働いていました。それだけにモラルが低くなってしまったのは残念です。

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