31.夜明け前

船は翌朝には東京港へ入った。

「いよいよじゃ！」

やがて勝鬨橋が見えると、でじこたちは身構えて上陸を決行した!

「いくぞ！」

掛け声とともに勝鬨橋のたもとから築地方面へ一斉に出撃した。

「出来る限り体力を温存し、被害は出すな！我らの目指す先はただ一つ！」

「どこにょ？」

「東京都千代田区一ツ橋一丁目一番一号、ﾊﾟﾚｽｻｲﾄﾞﾋﾞﾙﾃﾞｨﾝｸﾞ！」

「ﾊﾟﾚｽｻｲﾄﾞﾋﾞﾙﾃﾞｨﾝｸﾞ?」

美香たちはその名前に聞き覚えがあった。

かつて平田家を自己破産寸前にまで陥れた、世界最大の悪徳通販会社「ﾘｰﾀﾞｰｽﾞﾀﾞｲｼﾞｪｽﾄ」の本部があるﾋﾞﾙである。

「銀座を素通りし、日比谷から大手町に向かうぞ！」

やがて応援がどんどん集まった。かつて「ﾘｰﾀﾞｰｽﾞﾀﾞｲｼﾞｪｽﾄ」に苦しめられた人たちが集まってきたのである。

「世界中の人々を苦しめてきたﾘｰﾀﾞｰｽﾞﾀﾞｲｼﾞｪｽﾄは絶対に許してはならない!」

そうして集まってきた人と共に東京駅前を素通りして、大手町に差し掛かった時だった。

「止まれ！」

平田先生はここでいきなり止まってゆっくりと空き地に向かった。

「ここはいったいなんだにょ？」

「平将門の墓だ」

平安時代、朝廷に対して反乱を起こした平将門だが、その実は腐敗した調停を立て直すのが目的だったとされる。その墓は今でも大手町の一角に残っていた。

平田先生はそこで一礼した後、気象庁を目指した。

「見ろ！あれが敵の本拠、ﾊﾟﾚｽｻｲﾄﾞﾋﾞﾙﾃﾞｨﾝｸだ!」

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