30.出航!

第30話

数時間後、門司の港から一隻の船が出航した。マストには尾崎先生の南十字星の旗が掲げられた。

「でじこたちが新しい歴史を作るんだにょ」

傍らでは平田先生と吉村さんがいた。

「形だけでもレポーターとして仕事したということにしておかないとな」

そういって平田先生は吉村さんにビデオを回してもらい、あかりと二人で対談していた。

「平田先生、タイトルは私が考えたんです」

「プロジェクトZ 新しい歴史を作ろう!東大教授・平田道明の挑戦!」

「いいじゃないか、早速収録しようか」


船の中では作戦会議が開かれていた。


「つい勢いで出航してしまったが、勝算があるのかと聞かれると・・・」

「平田、株の計算とは違うぞ!ここまで来たら腹をきめろ!」

「自分なら必ずできると信じるものが最後に笑う。自分の言葉でこうなってしまうとは」

「平田、おまえもいつかはこうなることは覚悟していたんじゃないのか?」

「覚悟はしていました。でも実際こうなってどうするのかという準備もしていません」

「平田がそういうと思って用意しておいた」

尾崎先生が一枚の紙を広げた。


「ずいぶん古い紙ですね?設計図用青写真じゃないですか?」

「何だにょ?」

「昭和39年6月3日・・・水産講習所教諭 尾崎和夫・・・って、これ40年前のものじゃない」

「そうだ、いつかはこうなると思って40年前に準備しておいたのだ」

「平田先生もすごいけど、尾崎先生も恐ろしいぴょ」

「40年前にすでにこうなることを考えておられたとは・・・・」

尾崎先生は図面を見ながら解説を始めた。

「私の長年の研究の結果、リーダーズダイジェストを滅ぼすには方法は一つしかない」

「まさか、核兵器でも持ち出す気ではないでしょうね?日本は世界唯一の被爆国ですよ?分かってらっしゃるんでしょうね?」

「おお、もちろんだとも。世界唯一の被爆国だからこそ核兵器の恐ろしさを身をもって示すことができるんじゃないか!」

「頭のいい人は紙一重にゅ」

「そこで、ここを狙う」

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