15.宝塚に行くにょ

第15話

でじこたちは上本町からバスで梅田に行き、そこから阪急電車に乗った。

「私も昔は女優学校に行こうとがんばっていたの、でも3回も落ちちゃって・・・」

「あかりでもそんなことがあったのかにょ」

「2回目の試験で一緒に受験したのが美香なの。すぐ仲良くなれたわ。おじ様が東大教授というから頭よかったのかなと思ったけど。一緒に勉強して次の年に美香だけ受かって、あたしは落ちちゃったの」

「その女優学校、でじこも入りたいにょ」

「あんたなんか無理よ!あかり姉さまでも3回も落ちたのよ!」

「でじこなら受かるにょ」

「そう言ってる奴が実際は落ちるものにゅ」

「その通りだ、あの学校はそう簡単に受かる学校ではない。50人受けて一人受かるかどうかの学校だ」

やがて、列車は終点の宝塚についた。

「ほー、何もかもおしゃれな町にょ」

「あたし、この町が大好きよ、美香と一緒に苦労した町だもの」

改札口の前には袴姿の女性が立っていた。

「美香!」「あかり!」

二人は抱き合って再会を喜んだ。

「久しぶり、元気だった?」

「うん、トップスターになったんですって?」

「あかりも女優になったのね」

「あれが平田先生の姪御さんかにょ?」

「古い格好だにゅ」

美香はあら?と目を横にやると表情を変えた。

「あかり、ちょっと後でね」

美香は平田先生の前に進むとその場で正座した。

「叔父様、お久しぶりでございます」

「美香、よくここまで辛抱したね。あかり殿も喜んでくれたよ。私への挨拶はもういい、久しぶりに親友に会えたんだ。再開を心ゆくまでたのしむがよい。あかり殿のところへ行ってやれ」

「はい」

美香は一行を喫茶店に案内した。

「ここはあかりと二人で女優学校の試験の勉強をした場所よね」

「苦労したんだにょ」

「叔父上、その子たちは?」

「はーい、あかり姉さまのいとこです」

「うさだにょ、で、こっちがぷちこ」

「そして私の教え子、でじこちゃんだ、この子には特に目をかけている。よく見たまえ、でじこちゃんの目の輝きはすばらしい」

「叔父上がそんなに目をかけるなんて」

「美香、そろそろ劇場に入らないといけないんじゃないか?」

「でもあかりとせっかく会えたんだし、叔父上、楽屋まで一緒に行きませんか?」

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