12.現れた南十字星

第12話

今日は都ホテルに泊まろうと平田先生は言った。

「今日はホテル料理にょ」

「豪勢ねえ」

「二人とも期待を裏切って悪いが、私は外にうどんを食べに行くことにしている」

「そういえば平田先生の好物はうどんだったにょ」

うどんにたこやき、大阪は安くおいしいものがいっぱいある。

「これなら満足にょ」

「それにしては外が騒がしいな」

平田先生が外に出てみると、大勢の人が南を向いて立っていた。

「いったいなんだにょ?」

「南十字星や!上本町の南十字星や!」

「ま、まさか・・・」

「光が・・・」

見ると、確かに南の方角に4つの星が十字型に並んでいた。

「まさか・・・あの話は本当だったのか・・・。星が4つ並び十字を形成す、世が変わるなり・・・。まさしく上本町の南十字星に間違いない。」

「世の中が変わるのかにょ」

「明日、太陽を白い虹が貫くのが見えたら、もう間違いないだろう。大塩平八郎の乱でも、空襲でも起こるだろう」

「ほら、うさだ、先生はうそをつかないにょ」

「そ、そんな・・・」

「もう寝よう、翌日世の中が変わるかどうか分かる」


次の日、うさだはホテルで寝ていた。

「うさだ、起きるにょ!」

「うるさいわね、何よ」

「外を見るにょ!大変にょ!」

「だから何よ!」

うさだが起きてみると、確かに一本の白い虹が太陽を貫くように南北に伸びていた。

「え、あれって?」

「平田先生の言ったとおりにょ!世の中が変わるしるしにょ!」

「ほんとだわ、ねえ、でじこ、平田先生には言ったの?」

「忘れてたにょ、すぐ平田先生の部屋に電話するにょ」

「うかつものにゅ」

でじこはすぐ平田先生の部屋に電話をかけた。

「平田先生、でじこにょ」

「おお、外から見たかい、白い虹が出てるね」

「先生、世の中が変わるのかにょ?」

「間違いはないだろう、どう変わるかは分からんが・・・」

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