91.名古屋の都市計画
第91話
ローマは一日にして成らず。古代に繁栄を誇ったローマ帝国も
一日で完成したわけではない。数百年をかけて完成したのである。
現在の名古屋市は整然とした町並みがたち、噴水が人々を和ませる。
テレビ塔に上って展望台から南を見ると、船の形をした骨組みが見える。
これは1989年に完成した「名古屋戦災復興計画完成記念モニュメント」だ。
昭和20年9月、名古屋では大変な計画が発表された。
「飛行場を作る気か?」とさえ言われた100メートル道路の計画である。
これまでばらばらになっていた名古屋の町並みは白紙から作り変えられ
市内の墓地は一まとめにされた。
昭和20年代と言えば、トヨタがあったとはいえ、自動車は庶民には
まだ遠い夢だった。晴れた空の下占領軍のジープが走るだけだった。
計画では2本の100メートル道路を使って市内中心部を3分割し
災害を食い止める構想だった。
現に関東大震災の時に横浜では日本大通りが広かったため火災は
そこで止まり、通りの対岸に逃れた8万人が助かっている。
名古屋市は地主から平均2割の土地を収用し、建物ごと移動させるなど
荒業を駆使し、広くてまっすぐな整然とした道路を作った。
こうして始まった名古屋の戦災復興都市計画は
終戦の翌月から始まり、高度成長期を経てなんと1981年に全工区の
工事が完成するまで連綿と続けられていったのである。
名古屋ではこの年になるまで戦後は終わらなかった。
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