89.IYと「トヨタ生産方式」の秘密
第89話
世界に誇る日本のものづくりの方式「トヨタ生産方式」
だが、これはただ単に無駄を減らそうと追求した結果生まれたものではない。
ではどのようにして生まれたかというと、その原点はスーパーに有った。
アメリカではスーパーやチェーンストアはすでに1930年代にはあったが
スーパーやコンビニで買い物をしたことのない人はほとんどいないだろう。
では「どこにトヨタとの関係があるんだ?」という疑問がわいてくる。
確かにトヨタでは昭和13年の本社工場完成時から従業員のための「百貨店」がありこれが愛知県下最大の生活協同組合「トヨタ生協」に発展していくのである。しかし、それとはまったく別のところに秘密がある。
スーパーでは多くの品物を並べて売っていて、客は品物の置かれている棚から
欲しい商品を取ってレジへ行き、精算する。当たり前といわれるかもしれないが日本では昭和30年代になって定着してきた方式だ。それ以前は三越などは
その場で店員がそろばんをはじいて精算していた。だから売り場を何箇所も回らなければならない大変不便なものだった。
私など子供の頃親父からそろばんを教わって、エクセルの登場まで計算は全て
そろばんでやっていた。おかげで現在でもコミケで暗算使ってサークルの方よりも先に代金を計算してお金を出すなどということがままある。
さて、客が品物を買えば当然そこに隙間が出来るからスーパーはそこに品物を
補充しなければならない。客が来てそこに買いたい品物が無いというのは
スーパーとしては最大の恥である。こうして何がよく売れるかが分かっていく。
売れない品物はスペースの無駄だから撤去して売れる品物を置く。
そしてどんな人が来ても買える品物がいつでもあるのがスーパーマーケットだ。
この論理をそのまま製造現場に応用したのが「トヨタ生産・かんばん方式」だ。
必要な時に必要な物を必要な数だけそろえる。もちろん緻密な生産計画の下に。
そして自動車を必要なだけ作るのがトヨタだ。
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