85.細川の黙示録
第85話
歴史というのは過去を学ぶだけではない。時としてそれを元に未来を予測できる。
たとえば私が「東京むかしむかし」で「このまま行けば何らかの病気が日本に持ち込まれ、大被害を引き起こすだろう」と書いたとたん、「狂牛病」が
発生した。
そこで私はここで未来を考えてみた。
あらかじめお断りしておくが、未来というのは人間しだいでどうにでも変わるので、ここに書いてあるのが本当になるとは限らない。あくまで一つのパターンと考えて欲しい。
まず日本が東南アジアと自由貿易協定を結んだ時だ。
自由貿易協定というのは、相手の国の社会制度の一部を日本に受け入れることである。しかし、これがコミケを滅ぼす。
なんでも自分が自由に表現できるのは世界では日本だけといっていい。
ご存知の方も多いだろうが、特にシンガポールなどはものすごく法律が厳しい。
なんでも取引が自由になるのは便利でいいことなのだが、相手に合わせて
規制を持ち込むのは独自性の自殺である。
まずあらゆる規制や制限がコミケにかかるだろう。
不安な時代、人々はコミケの危険性をことさらあおり、その結果参加者の減少とあらゆる規制が雪崩的に発生するだろう。
また、貿易自由化により多くの国の人たちがコミケを目指す。
その結果、日本のコミケ参加者は今まで以上に質の向上と確保を求められるだろう。
生きのこれるのは現在の参加者の約一割以下だ。
あとは規模は今までどおりでもコスプレイヤーに転向したり、あるいは外資系
サークルやその傘下になってしまうだろう。だが所詮外資は日本人の支持を得ることは難しい。そして外資は撤退し、あとには少なくなった日本人のみが残る。
私のように他の世界や土地へ移れる人間はまだいい。現実のコミケ参加者の大半は「海の上のピアニスト」になるのだ。
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