79.同人作家国家試験

第79話

私が友人に最も嫌われる考えがこの「同人作家国家試験」だ。

同人作家に国家試験を課し、合格者にのみコミケへの参加や同人誌の執筆を許す。そうして実務経験を2年以上つんで「商業作家国家試験」に合格すれば

商業作家として国に登録されるかあるいは国家公務員として

晴れて出版社と契約して作家として活躍できるシステムだ。

趣味の同人誌に何が国家試験だという人がたくさんいる。

しかし、趣味の世界への国家介入など数多くある。

自動車だってただ走ることからレーシングまでさまざまな趣味の楽しみ方があるが、皆、運転免許証を持っているだろう。これも国家試験だ。

「金銭を目的とせず、もっぱら個人の興味のために」と言う基本理念の

アマチュア無線だって、無線従事者国家試験に合格して免許証をもらわないと

いかなる活動もできない。

国家試験といかないまでも、茶道、華道、日本舞踊は師匠から免状をいただくし、試験の末に段位などを与える趣味などたくさんある。検定試験制度もあるだろう。英検はともかく、歴史にも「歴史検定試験」がある。

もちろん就職などには役立たない資格だが、私が1999年に合格した「日本史一級」は大学入試センター試験90点以上の実力を必要とする。

しかも試験範囲が学校の教科書だけではないので、実力から言って誰でもそう簡単に合格する試験ではない。私が持っている「地理検定試験一級」も

センター試験85点以上の実力が必要だ。どちらにしても合格率は20%に満たない。

社会科は暗記の学問だといわれているが、センター試験でもそれだけの点数取ろうと思ったら暗記だけではとても点が取れない。

この実力が「細川歴史」を語る。

頭のいい奴は入試で次々世間に認められていくが、こうした入試や各種の試験に対して「馬鹿をしいたげるな」というものはいないだろう。

このように、才能あるものがテストで世に認められていくのは当然である。

これが真の自由競争というものだ。ところが、同人誌にはそれがないのだ。

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