73.造反に理なし

第73話

中国最後の皇帝溥儀の生涯を描いた映画「ラストエンペラー」

その全編はなんとビデオ10本分に及ぶと言う。

彼は中国最後の皇帝を務めた後、戦争に翻弄され、やがて戦犯として服役した後、1959年に釈放された。晩年は北京で市民として生活をするが

映画のラストシーンの1967年、溥儀が北京の街中を見ていると、

大勢の若者たちが手に赤旗を持ちながらやってきた。これこそ毛沢東が権力奪還のために組織した「紅衛兵」である。

紅衛兵の若者たちは「造反に理あり!革命に罪なし!」と叫びながら

かつて溥儀の面倒を見てくれた刑務所長を犯罪者として連れ歩いた。

驚いた溥儀が紅衛兵に「この人が何をしたのか?」と問うと、

紅衛兵は「反革命者だ」とだけ答えたと言う。彼らは口々に

「造反に理あり!革命に罪なし!」と叫び続けたと言う。

この映画が公開されたとき私は「日本でもいつかこういうことが起きるぞ!」

と感じていた。なぜなら良くも悪くも中国で起きたことと同じことが必ず後になって起こってきたのが日本だからである。その例外は革命と共産主義だけといっていい。もともと農耕民族で争いや社会の変化を好まない日本人には

なじまないものだったからだ。

この私の予感は最悪の形で的中した。オウム事件と言う形で。

自分のやっていることが罪とならないとはっきり確信した人間が一番恐ろしい。

結果、それまでとは違う犯罪を引き起こし大被害を招くのだ。

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