56.トヨタ、その限りない可能性への挑戦(2)
第56話
だが、喜一郎氏の精神は息子章一郎氏、いとこの英二氏に引き継がれ、
喜一郎氏の死から三年後の昭和30年、トヨタ車の代名詞となる
「トヨペット・クラウン」(初代)が完成するのである。
これ以降、自動車は国産車が主流となり、現在日本で走っている車の
ほとんどが日本製になっているのは周知の事実である。
豊田佐吉は、息子喜一郎の無限の才能を見抜いていた。
「子が親の事業だけをついで発展を考えぬほど、ばかなことはない」
と、何か事業を起こすようにすすめた。自動車事業の立ち上げに際し、
周りが反対したのに、佐吉だけは「喜一郎、おまえがやってみい」と
だけいったという。
親から子へ、子から次の世代へ、果てしなく続けられる努力こそ
歴史といえよう。
ただ伝統と安定だけをかたくなに守り、発展を考えず、自らの保身のみに徹してお国のためを考えない企業や団体はどういう末路をたどるか。
新しい血を吹き込まない限り、努力を惜しんでる限り、身を守っている限り、
結局は破綻してしまうのだ。
いかに何百年の伝統を誇ろうとも、絶えず変わる努力なくして
何の名門か伝統か。
さて、「産業技術記念館」からトヨタが走らせている無料バス「ミュージアムライナー」に乗ってみよう。このバスはオールトヨタ製で乗り心地やサービスはいいほか、チャイルドシートも装備している。
バスに乗って一時間、名古屋市を出て愛知県長久手町、そう、あのワーテルローと姉妹都市になっている古戦場の町だ。
ここにこれぞ車の博物館、「トヨタ博物館」がある。
玄関にはトヨタの一号車「トヨダAA型」が置かれ、館内にはロールスロイスやフォードT型や「ヨタハチ」ことトヨタスポーツ800、クラウン、
トヨタ2000GTまで古今東西の名車が肩をそろえている。もちろん、
撮影したければ自由に撮影もできる。
また、「産業技術記念館」との共通入場券制度があるほか、トヨタカード、
JAF会員割引制度もある。
「ミュージアムライナー」はここを拠点に、名古屋市内、豊田市内、トヨタ関連施設に数系統がある。
さてここの名物は車だけではない、レストランのカレーが名物なのだ。
このカレーはレトルトでお持ち帰りができるのだが、味はともかく、
「トヨタのカレー」は人々をびっくりさせた。東京の友人たちに配ったら、
みな驚いたほどだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます