54.そばが教える日本の危機(後)

第54話

こうした日本の食糧危機を20年前、私に訴えたある人物がいる。

「とんでも先生」という漫画の主人公である。この先生はとんでもないいたずらをしでかして迷惑をかけるというくだりだが、先生は生徒たちと一緒に

日本のあらゆる食料の自給率の低さを私に訴えていた。その当時でも

日本が輸入しなくてすむ食糧は米しかなかった。野菜でさえ2%ほど輸入があったし、大豆や小麦はもちろん、たこやえび、小豆や砂糖も輸入が大半だった。

牛肉も自由化前だが、20%が輸入だった。1979年当時でこの有様だった。

だから政府は1985年をめどに養殖をはじめとして自給率を上げようとしているとした上で努力しているというところで結びになっている。

ところが、政府がこの体たらくである。85年どころか、21世紀になった今では食料品が輸入が当たり前の時代になり、食料輸入自由化で多くの安い外国産の食料はもちろん、先日東京駅ではアメリカで作った弁当を冷凍して日本に持ち込んで売るなどというとんでもない暴挙が行われる事態となってしまった。

牛肉はおろか、豚肉までがアメリカ産が主流となり、私の好物、ねぎまでもが

中国産になってしまった。このままいけば、いずれ日本で食糧生産が行われなくなるか、もしくは何らかの病気が持ち込まれて日本に広まり、大被害を起こすだろう。

そうなる前にもう一度ぜひ「とんでも先生」にご登場いただき、日本の食糧危機を訴えていただきたいものだ。

この「とんでも先生」の作者こそ、今回、この本の発刊に尽力していただいた

みなもと太郎先生である。

私はいつも「アホが歴史を作る」といっている。

これは、教育を受けたエリートよりもいざというときはバカやアホの類のほうが役に立つ。そして、その類のものがとてつもない考えを起こした結果

歴史の潮流が変わったという例は過去いくらでもある。いや、その繰り返しが

世界の歴史を作ってきたといっていい。そして、そのバカやアホが歴史の潮流を変えた結果、人類の発展に寄与し、人類を救った例が多い。

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