43.スガモ・プリズン(後)
第43話
日本という国は海があってこそ栄える国だということを忘れてはならない。
もともと資源が乏しい日本という国は、海を渡って貿易を行うよりほかに発展の道はない。経済大国日本の発展は、貿易によるものなのだ。
日本の一部または全部を閉じて、そこに守られた世界を作ることは
絶対にやるべきではない。日本でそういうことをした例は多いが、
現在までそれに守られて発展した例や存続した例はない。
江戸幕府の鎖国から護送船団方式の崩壊までがそうだった。
必ず最後は閉じた世界を開放するか、自己崩壊か、経営破たんの
いずれかしか末路はなかった。
織田信長は桶狭間の戦いに際し、「昔からろう城して運の開けたためしはない」
といって、勝つ見込みのない戦に突撃して行った。が、勝って帰ってきた。
清水義範著「金鯱の夢」という小説がある。これは、豊臣秀吉の子、秀正が
徳川家康を倒して名古屋に幕府を開くというストーリーだが、秀正は
自ら鎖国を行うに際してこんなセリフを言うくだりがある。
「とりあえずはそれでやっていくだわさ、そのほうがつごうがええ。
そんだけど、しみゃあにはそれでもやっていけんときがくるわな。さてそのときはどうするかだわ。そんときはさっさと鎖国をやめて開国してまうだがや。
頭の固てえ奴がとろくせえこと言うかもしれんけど、そんなんかまってられるかや。政策なんつうものは時の都合でいくらでも変えられるもんだで、
時が来たらそれに合わせてやってかなあかん。」
秀正は鎖国の効用を知ってはいたが、同時にその限界も知っていた。
いつかは鎖国もやっていけなくなる。そのときはさっさと鎖国をやめて開国しよう。そして近代化を遂げた日本は発展していく。一方、近代化を拒否した朝鮮は最後には日本の支配下に入ってしまうのだ。
今の日本にはこんな明らかな前例があるのに、いまだに規制や壁を作って
自らを囲い、守られた世界を作る個人や団体が非常に多い。
守られた世界で生き延びることは、私が学んだ歴史の法則上でも、私が苦心した自閉症という病気との闘いからの経験からでも、最後まで存続することは絶対にありえない!自ら扉を開く以外に生きる方法はないのだ!さもなければ
崩壊しか末路はないものと思ってほしい!
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