31.グランベリーモ-ル(後)

第31話

なお、動物好きの人は一度ゴールドコーストへ来るとよい。

ここには1927年創業の伝統ある「ローンパイン・コアラ動物園」がある。

ここでは誰でもコアラを抱いて写真を取ってもらえるのだ。

そのこだわりぶりは徹底しており、園内で畑を持ち、コアラのえさのユーカリの木を自給自足しているほどだ。

コアラの「男子寮」「女子寮」「幼稚園」「小学校」「ハイスクール」と年齢別に別々のおりがある。なお、園内にはカンガルー放し飼いエリアもあり、

ウサギのえさによく似たカンガルーのえさを持って入る。彼らは食欲旺盛で、

えさの紙袋を開けようとしたとたん、彼らに奪われてしまった。しかも彼らの動きの早いこと。

園内にはこのほかウォンバットもいた。入り口のお土産売店は木のログハウスであまり広くないが、純粋に動物好きな人はこれでも最高の贅沢だろう。

さて、そんなゴールドコーストのパシフィックフェアによく似たショッピングモールが南町田にできた。

南町田駅前に降り立つと、そこにはまるでオーストラリアに来たような錯覚に襲われた。

もともと町田は小田急線を境として、北部と南部に人々の気質が分かれる。

北部は鶴川などで、土着民が多く、開発が古くから進んできた、

そのため、人々は情熱にあふれ、新しいことを恐れなかった。

これに対して南部は移住者が多く、開発は昭和末期まで行われなかった。

そのため、バス路線や道路などが北部に比べて貧弱だった。

北部に立派なビルが建つのに比べ、南部は平屋建ての家も多かった。

また、小田急を越えて南北間を渡ることも難しかった。

鶴川から南町田に行こうとすれば、相模原市か横浜市緑区を経由しなければ

行く方法はない。それほど隔てられた町なのだ。

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