7.鉄道に託した未来の夢(後)

第7話

やがて、昭和18年、鉄道王五島慶太氏が創立した東横鉄道と小田急、相鉄、京王、京浜急行、帝都鉄道(小田急傘下、現在の井の頭線)を全部合併した。「東京急行電鉄」すなわち東急の誕生である。

戦後の財閥解体で、また分裂はしたが、小田急は井の頭線を京王に譲ることとなった。

その代わり、小田急は江ノ電と神奈中バスを譲り受けた。

また同時に、小田急は相鉄の株式を譲り受けた。

小田急は相鉄株を買占め、相鉄乗っ取りを図ったが、結局相鉄首脳陣の抵抗であっさり挫折した。このことは小田急の記録に一切記されておらず、相鉄の記録にのみ残っている。

さて、小田急は絶対にストライキをしない鉄道として知られている。

西武のように労働組合がない例はあるが、小田急はストにより経営側と交渉することは必ずしも上策ではないということを、すでに昭和20年代から実践していた。

この時代は全国に赤旗がたなびき、数多くの労働争議が頻発していた。

トヨタ自動車でさえ労働争議で社長が辞任したり、つぶれかかった時代に小田急はなんと冷静だったことか。現在もなおその方針に変わりはない。

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