資金の流れ

第51話

ハッピーネットワークの資金の流れがある程度分かったので、記述していくことにする。

これまで私は一般的な同人誌のコストと判断して、この話を記述してきたが、それとは予想外の所で思わぬ資金の流れがあったことが分かったのだ。

それは、H氏がハッピーネットワーク設立に関して多額の資金を借り入れていたという事であった。確かに発足当初から500人も無計画に会員を集めて事業を運営するには余程の資金と事業計画がなければならないが、出資者の存在が明らかになったのだ。

残念ながらその出資者の正体は突き止められなかったが、ニューヨーク郊外の出版社ということは分かっているので、リーダーズダイジェストである可能性が強い。

そのシステムだが、まず93年の設立時に数百万円の資金を調達し、H氏と印刷所の間にペーパーカンパニーを絡ませて、会員から集めた購読料は一旦H氏からそのカンパニーに移し、印刷費を印刷会社に支払ったうえで、残りを出資者に利子として配当する仕組みだった。これなら会費は全額経費扱いできるし、自己資金ゼロでも事業を興せる。

ではその借金は完済したのかというと、完済どころか現在は一千万円を超えているという。93年当時の高金利の支払いを約束している上、家も経費で買ったことにしたため、その未返済分も借金に含まれることになったのだ。さらに会員がどんどん減少し、会員募集をかければさらに減るという悪循環で、もはやH氏の収入に充てる部分を利子の支払いにあてても足りないほどだという。これでは本当の自転車操業だ。

だからH氏は交流会を増やしてカンパを募る有様だが、それも長くは続かないだろう。

言うなればH氏もアメリカ至上主義、リーダーズダイジェストの被害者と言える。しかし私が思うのは、そうした出資者にどうして乗せられてしまったのかということと、どうして事業を中断する決断ができないかということだ。このままではいずれ破産は免れないだろうと私は見る。適当なところで「損切り」をして損失を確定するのが投資家のやり方だが、利子が一円でも支払われているうちは不良債権にならない。それで投資家も金を出せとはいってもそれ以上の事は放置してきたのだろう。

こういうことが分かった以上、新たな対策を立てなくてはならない。

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