ハッピーネットワークの成立

話は1990年ごろにさかのぼるが、このころ、「MY詩集」という雑誌があって、この雑誌に私も投稿していたのだが、そのメンバーの一人で郵便局員だったHという男が1993年にそのシステムを真似して雑誌を立ち上げた。それが「ハッピーネットワーク」だ。この男は国際情勢など知っているはずがないし、おそらくリーダーズダイジェストなど読むどころか名前すら知らないだろう。だが彼の考えたシステムは、リーダーズダイジェスト日本支社の購読システムに極めてよく似ていた。

まず、MY詩集から「ハッピーネットワーク」に引き継がれたシステムについて述べよう（両者の間に法的継続性及び資本関係はない）

・会費制で、当初は年会費14000円（現在はハッピーネットワークは12000円）

・毎月発行（現在はMY詩集は隔月刊）

・作品を審査したうえで入会を認める

一方、相違点は次のとおりである

・MY詩集は書店売りも多いが、「ハッピーネットワーク」は完全に定期購読のみである。

・MY詩集はキャンペーンを行う程度でDMは利用しないが、「ハッピーネットワーク」はDMが主要な勧誘ルートになっている。

・MY詩集は会員になれば年6回作品を発表できる権利があるが、「ハッピーネットワーク」は14000円の購読料のほかに1ページにつき1800円からの発表料がかかる。

・MY詩集は絵画作品をグラビアで載せる以外は完全な活字印刷だが、「ハッピーネットワーク」は会員から提出された原稿をコピーして印刷に回す。

ここで私が言いたいのは、「ハッピーネットワーク」と「MY詩集」では明らかにその経営姿勢が異なることだ。

MY詩集は創業者の須田さんが身銭を切って本を維持していたのに対しハッピーネットワークは利潤を上げるのが前提となっている。これで趣味の同人だというのだからあきれる。もしこれが多くても30人くらいのいわゆる町工場同様の人員規模であれば私も文句は言うまい。所詮一人の人間が面倒を見られる規模などその程度でしかない。学校を見ても小学校のクラスから大学のゼミまでがほとんど30人程度の生徒で運営される会社も同様で一番小さいセクションは20人がいいところで、その上を管理する人材は末端を管理するのではなく、職場単位のリーダーを管理するのである。もし組織構成員が100人を超えるようであれば、どんなに有能な管理者でもその自由な意思で組織を運営することはできない。それだけいればいろんな意見が出てまとまらないからだ。自分の意見だけでやろうとするなら強力な統制組織をもって取り締まらなければならない。そして、「ハッピーネットワーク」とリーダーズダイジェスト日本支社との相違点は、法人企業であるかないかと本以外にさまざまな通販商品を扱うことくらいで「ハッピーネットワーク」は本業だけで大幅な黒字を上げており、所得税と事業税も納税している。これで「非営利の同人組織」を名乗って勧誘しているのだからあきれる。私が計算したところでは、ここ2，3年だけでも平均540万円の収入があり、印刷費原価を差し引いてもH氏には月平均17万円の収入があり、彼は久里浜に自宅まで建ててしまった。これで「非営利の趣味組織」を名乗っているのだからあきれ果ててものが言えない。この「ハッピーネットワーク」にリーダーズダイジェストと同様の危険性を感じていた私はすぐにH氏に活動停止を勧告した。過去の失敗と同じことを繰り返して被害を生みだすことが明白な事態になることを見逃すことは、歴史家としては断じて許すわけにはいかないからだ。

ここで私が言いたいのは、「ハッピーネットワーク」と「MY詩集」では明らかにその経営姿勢が異なることだ。