閉鎖通告

第14話

そして同年11月、ついに日本支社の従業員に閉鎖が通告される。

1985年11月11日、取締役の塩谷氏らに閉鎖が通告された。場所は青山学院大に近い「十二段家」しゃぶしゃぶでは古くからの伝統を誇る店である。そこで通知されたのは、日本支社を1986年1月31日をもって閉鎖しこの時点でいる81名の社員は全員解雇するということだった。リーダーズダイジェストはすでに通販会社と化しているが、この時点で雑誌を編集しているのは、わずか6名のスタッフだけだったという。塩谷氏は雑誌だけでも残せないかと詰め寄ったが、一蹴されたという。そこで塩谷氏は雑誌部門の身売りの交渉に入った。だが、当時のリーダーズダイジェストは社員が勤務中に転職の相談をするほど愛社精神が欠如しており、通信販売は当時大口郵便料金割引制度がなかった日本においては効率の悪い方法で、加えて人件費が総売り上げの1割を上回るようでは引き受け手は現れなかった。

塩谷氏は米国本社から竹橋の経営権を買収する提案もしていた、これは当時のリーダーズダイジェストの資本金4億5千万円を1千万円に減資したうえで日本人経営陣がそれを買い取るという提案であった。

それに対して米国本社が出した条件は

・ライセンス料年間20万ドル(当時のレートで3500万円以上)

・新会社に対する出資及び資金援助を米国本社は一切行わない

・解雇および事業閉鎖に対する米国本社の責任を一切問わない

・パレスサイドビルからの事務所の退去

という、およそ実情を無視した条件であったため、塩谷氏は提案を断念した。

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