第30話



「高崎暁の母親!」



目の前の女が、憎らしい男の母親。



憎悪が膨れ出す。



なぜ、あの女がこのパーティーに?




「悪いのだけど、帰らせて頂くわね。」



妖艶に微笑んだ女は、私を一瞥すると背を向ける。



本気で、このまま帰るつもりだ。



「っっ、」



何て、我儘で傲慢な。



恥知らずで、身勝手な女。




「っっ、高崎様、お待ちを、」



そんな女に、主催者の夫人はみっともなくもすがり付く。


「待つ?」



振り返った高崎美夜の瞳は冷たい。

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