第31話




「ふふっ、不愉快な人がいると言うのにかしら?」


「っっ、」



どきりと、胸が跳ねる。



向けられる視線の先にいるのは、私だったから。




「水瀬様の夫人がいらっしゃるなら、私は一切、その方のパーティーに出ませんわ。」



ぱちりと、高崎美夜が持つ扇子が鳴った。




「水瀬様……?」



困惑する主催者の夫人に、女はおっとりと仕草で首を傾げる。




「えぇ、あの方は私の娘のように思っている子を苛めた人よ?」



そして、甘い毒を流した。




「「・・・。」」



向けられる、周囲からの軽蔑の眼差し。


ゆっくりと、毒が回り出す。

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