二回目です魔王様♪ 解離性のある日常と魔王様のちゃぶ台返し編
二回目です魔王様♪ #恋する魔王様
名残り雪市。私立胡桃沢学園に通う二人の異端児、常坂あゆみ(自称魔王)と常坂小雪(下僕?)は今日も悪逆非道な行いをするべく、計画を淡々と立てる。夏に近い日差しを三階の窓際に立ち、サングラスを上げるハゲ、もとい坊主のあゆみ。
「ふっ……血が滾るわ、さあ小雪よ! 新たな支配案は何だ!?」
窓際の席に座る小雪は、シャーペンを手元で回しながら答える。
「ふぁい、校内放送は巧くやれたので、次は……愛かとっ!」
天変地異を引き起こす一言にあゆみは仰け反り、其の勢いで背後の窓を坊主頭で叩き割る。
「なんだとおっ!? あ、愛だと……。して、其れは何故必要なのだ?」
質問に対して、鞄から少年漫画を取り出し、熱弁を始める。
「良いでしゅか魔王様。ラヴ、即ち愛とは人に膨大なパワーを与える代物だと、この伝説の書記に書かれておりましゅ! 恋人が窮地に陥った時、真なる愛は魔界全土(多分)を揺るがす程の力が与えられるのでしゅよ! つまりラヴパワーで最強への近道が開かれるのでしゅ!」
白目を向き卒倒するあゆみ。だが彼は寺の坊主見習いである、愛だの恋だのと言う煩悩はご法度……彼は倒れた場所から小雪のスカートの中を見上げ、鼻血を流していた。
「今日は黒パンツか! 良いぞ小雪よ、我はラヴパワーとやらを手に入れてやろうと思う!」
こうして、魔王あゆみの愛探しの旅が幕を開けた。終業のチャイムが鳴ると体重を一キロにしたあゆみを担いで、小雪が猛ダッシュして学園内を走り回り、校門の鉄扉をひらひらとスカートを揺らして飛び越えた。
「何処へゆくと言うのだ、我はラヴパワーをだな……」
「任せて下しゃい! こう言うのは乙女に託せば万事解決でしゅよー」
そう言ってあゆみを連れて、辿り着いたのは公共公園だ。あゆみを下ろし、滑り台の上へと登る小雪は、ビシっと人差し指で空を示し声高らかに言う。
「全ロリコン者対象である幼女共お! 魔王様が恋をしたがっておられるぞお!」
其れを聞いた公園デビューしている主婦達からは冷やかな視線が送られ、子供達が物珍しそうに近寄って来る。雑誌を丸めた手製のメガホンで更に小雪が続けた。
「男衆は消え失せいっ! 魔王様が恋したいのは幼女じゃあ!」
「何でだよー、俺達も混ぜろよーデカパイ女」「そーだそーだ! デカ尻女あ!」
男の子からのバッシングに耐える小雪。其の献身的な彼女を見て男あゆみはマントをひるがえしてサングラスを宙へと投げる。
「貴様……可愛いな。いや……其の抱えている子猫のほうだがな」
「きゃあ、ママ助けてえ! うえ~ん」
「なーかした、なーかした!」「魔王が現れたぞーみんなやっちまえー」
あゆみへ悪戯に暴力を振るう男の子達、そして其れを応援する女の子達。其の光景を滑り台の上から眺めて居た小雪は頬に一筋の涙を流す。何故ならば、彼は子供達を勇者と呼び、あえて地面へとへタレコミ仕舞には「ぐは~や~られた」っと鉄板なセリフをあゆみが吐いたからだ。
「ぐすん、泣かせましゅね魔王様……ならばっ。行けえ若人共っ! 悪しき魔王をぶっ倒せえ!」
「スーパーパーンチ!」
「ぐはああっ」
そして体重をマイナス百キロにした魔王あゆみは小さな男の子のスーパーパンチによって空高く飛んで行った。子供勇者VS魔王あゆみ、勝敗、魔王の良心により自滅。
「すげー飛んで行ったぞ!」「やったー平和はまもれたー!」「魔王なんてクズだー」
小雪は遥か彼方に飛んで行ったあゆみを見上げて、ハンカチで涙を拭った。
「世も末ですねえ……」←(元々こいつのせい)……愛とは……?
二回目です魔王様♪ #恋する魔王様 おわり
三回目です魔王様♪ #自動精算機の鎮魂歌 に、つづく。
作者一言コメント『ほっんとーにしょうもない』
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