第2話

3年前__。

私は火事で聴力を失った。

音のない世界は、まるで色がない世界だ。


気づいたら天井は真っ白だった。身体が動かない。

私が薄れゆく景色の中で見たものはメラメラと燃える炎と崩壊してゆく自分の部屋の天井だった。

周りから何も聞こえないので私は死んだのだ、と錯覚していた。

急に視界に母親が現れた。

母親は大粒の涙を零し何かを喋っていた。

だが何も聞こえない。

私は声を出した。

千紗都「お母さん、なんていってるの?」

自分の声は聞こえた。でも母の声は聞こえない。

お医者さんが母に紙とペンを渡した。

母は震える手で文字を書いている。

なんだろうか


千紗都の耳はもう聞こえなくなってしまったの


文字が震えていた。紙が涙で滲んでいた。


あぁ、そうか、嘘だ、


母に紙を渡されたので私は

「わかった」

と書いた。

私は納得しているようで納得していないのだろう。



〜現在〜

中学3年生になった私は幼馴染の夕陽と同じクラスになった。

夕陽は無神経だ。

夕陽「耳って聞こえてんの?」

私はそんな幼馴染にムカついて聞こえてるけど聞こえないふりをした。

千紗都「?何言ってんの?」

夕陽「あ、聞こえないのか」

聞こえてるよば〜か笑

夕陽「好きだ…千紗都…」

は?

夕陽「千紗都には届かないだろうが。」

私は段々自分の体温が高くなるのがわかった。

?「も〜本当は聞こえてるんでしょ笑ちさ笑」

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難聴のピアノ @satoooooo

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