第46話 飲み会
大手ギルド【叡智の女神】マスター、片桐叡山。同じく大手ギルド【狂暴な鬼人】マスター、阿知羅鎧武。そして弱小ギルド【銀狼の牙】マスター、明神斗真。同ギルドメンバーである俺、前山進。
冒険者御用達の酒場の個室に、何とも奇妙なメンバーが集まっていた。
鎧武はその見た目通り、ビールをがぶがぶ飲んでいる。どうやら斗真とは知り合いのようで、ゲラゲラ笑いながら飲み比べをしている。
いろいろ騒動があって疲れている俺に2人のテンションは普通にキツい。自然と俺は叡山と話していた。
「何かな?そんなに見られると気になるのだが。」
「ああ、悪かったな。お前がビール飲むなんて意外だったもんで。」
俺のイメージだと叡山は高級フレンチみたいな店でワインを飲むイメージだったが、目の前の男は焼き鳥と枝豆を片手にビールを飲んでいる。
「君は私をなんだと思ってるんだ。そういう店に行った事はあるが、普段通いする場所じゃない。こういう場所の方が性に合ってるよ。」
「お前くらい大手なら毎日通っても余裕だろ。」
「私だって冒険者だよ。生まれが裕福だった訳でもない。今は軌道に乗れているが、駆け出しの頃からこの店には世話になってる。結局、何処まで上り詰めようと味覚までは変わらないからね。」
そう言いながらビールを飲む姿はなんだかさまになっていた。
「ところで聞いたよ。ミカエラ兄妹の妹を倒したそうだね。やるじゃないか。」
「最初から本気だったら殺されてたよ。」
あれから1週間経つが、あれだけの傷だったのにもう治っている。あれでも思いの外、加減されていたことが後になってわかった。
「それでも勝ちは勝ちだ。反省は成長に繋がるが、君は自分の力に自信がなさすぎる。レベルはともかく、実力としてはランク4〜5相当あるんだ。もっと自信を持ちたまえ。」
流石は大手ギルドのマスター。
ギルメンの悩み相談とかちゃんと聞いて、アドバイスしてるんだろうな。
厳しい面しか知らなかったが、なるほど。人が着いてくる訳だ。
それに比べてうちのマスターは……
隣に目をやれば、寝息を立てて爆睡している。
はぁ…叡山みたいなカリスマ性がある訳でもなく、鎧武のみたいなアニキ肌もない。……俺、なんでこいつに着いて来たんだろ。
結局、この後も寝覚めた斗真が大はしゃぎし続けた結果、2時間近くこの店に滞在していた。時刻は23時を回っている。そろそろお開きの時間だ。
「そろそろいい時間だね。今日は楽しかった。ここは私が払わせて貰うよ。」
流石は叡山。やっぱ向こうのギルドに入ろっかな。
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