3章
第33話 休暇明け
ユニコーン戦から2ヶ月。
すっかり怪我も治った俺は、日夜ダンジョンに潜り続ける生活を送っていた。
朝9時〜18時頃までは金川と2人で、20時〜5時頃まではソロで、といったスケジュールだ。
なぜこんな過密なスケジュールを送っているのかと言われれば、金がないから。
ユニコーン戦の怪我で俺は1ヶ月の療養生活を送る羽目になった。
そのせいで貯金がほぼ無くなっている。
まあこの療養期間中、全く無報酬だったのかと言われればそうではないのだが…
なんと、金川が善意(?)でクエストの報酬をずっと分けてくれていたのだ。
そのおかげで生活に支障なく過ごせたのだが……なんというか、年下の子に養われてる感じがして良心が痛む。
金川はパーティを組んでいる以上、報酬は山分けだと言って聞かなかったが、ソロでやってたんだから俺に分ける義理はない。
俺が大して金がないのを分かっていたから無理矢理にでも渡そうとしたのだろう。
やはり口は悪いが、根は優しい。
このお金は絶対に返そう。
そう決意した俺は、怪我が治り次第ダンジョン探索に精を出しているという訳だ。
今月分の生活費と金川から貰った金銭の返済。ざっと見積もっても普段の数倍は稼ぐ必要がある。
いつも通りの探索だけではとても足りない為、夜中もダンジョンに潜る。
ただし、これは金川にバレてはいけない。
バレたらたぶん着いてくるなんて言い出すし、それじゃあ金川にまで無理をさせてしまう。
金の問題は俺個人の問題だ。
金川まで巻き込む必要はない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
という訳で日付を跨いで時刻は2時。
ダンジョン内にも他のハンターの姿など全く見当たらないこの時間、俺は今日も1人で黙々と狩りを続ける。
ユニコーン戦で痛い目に合ったので、安全圏までしか潜らない。
ソロだと行ってもいいのは5階層まで。
それ以上はどんな危険が待ち受けているか読めないので2人以上の時にする。
とにかく、質より量だ。
狩って、狩って、狩りまくって、素材を売って金を作る。
ターゲットはゴブリンだ。
ジェネラルなどの統率個体のいないゴブリンはただの雑魚だが、物を拾う性質があるお陰か偶に身の丈に合わない武器や宝石を持ってたりする。
ただ倒して素材を得るだけよりも、偶然でもなんでもいいから宝石や武器系なんかが手に入ればそれも金になる。
少しでも多くの金を早急に稼ぎたい俺にとって、ゴブリンは非常にいい相手だった。
そうこうしている間にゴブリンの巣を発見。
さあて、一気にやるか。
「ギャッ!!」
「ギャギャギャッ!」
「お前らの親玉には苦戦させられたからなぁ。恨みって程でもないが、まあ覚悟しろよ。」
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