第21話 定例会議
『
俺はいつもの変わらない日々を送っているのだが…最近は悩みが一つ出来た。
それは、金川のスキル【魑魅魍魎】についてだ。
図鑑自体は上手く誤魔化してギルドに置いているが、肝心のスキルについて、このまま隠し続けていいものか悩んでいるのだ。
ランク3で本当に安全マージンなのか?
もう少しレベルを上げてからの方がいいんじゃないか?
こんな考えてもキリがない事ばかり、頭の中に浮かんで来る。
そんな事を考えながら街中を歩いていると、肩に衝撃が走った。
どうやら誰かとぶつかってしまった様だ。
「おっと…悪い、俺の不注意だった。怪我はないか?」
ぶつかった相手は小柄な少年。
俺とは体格差があった為、少年は地面に倒れ込んでしまっていた。
背中に背負った大きなリュックからは少し荷物が出てしまっている。
「本当に悪かった。何か壊れたりしてたら弁償する。」
「いえ、大丈夫です。僕、急いでますんで…それじゃあ!」
少年は慌てた様子で溢れたリュックの中身を拾い集めると、ダンジョンの方角へと走り去ってしまった。
「あいつ……何処かで見た様な気が…」
一瞬だったのでよく顔が見えなかったけど、何処かで会った気がする。
走り去る少年の後ろ姿を見ながらそんな事を考えていると、視界の端に光る物が…
近づいてみると、それは短剣だ。
「これってまさか…あいつのなんじゃ…」
少年が走っていったのはダンジョンの方角だ。恐らくだが少年も冒険者である可能性が高い。だとしたら、この短剣は少年の武器という事になる。
非常にマズい。
もしあの子が武器を落としている事に気付かずダンジョンに潜ってしまっていたら……
考えるだけでゾッとする。
あの子がこれで死んだら……俺のせい…だよな。急いで届けないと。
落ちている短剣を拾い上げ、俺は少年の後を追ってダンジョンに向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【
ギルド『
今日は『
開始予定時刻は14時。
時計の針が14時を刺すとと同時に叡山が会議室へ姿を現す。
部屋の中には4人の幹部が座っている。
「……
辺りを見回し幹部が1人足りない事に気付いた叡山が他の幹部に訪ねる。
「数日前から
「ああ、そうだったね。何処のチームに入れていたかな?」
叡山の言葉にいち早く反応した光流がパソコンを開き、雨太が加わっているチームを調べ始めた。
「ちょっと待って下さいね。……見つけました。山岸隆二のチームですね。」
「隆二はこの前追放したじゃろ。ほれ、あの前山進とかいうのに負けて。」
「だったら雨太は今、何処にいるんだ?もうそろそろ晴太に戻るタイミングだろう。」
「それならいいさ。晴太になれば勝手に戻って来る。それじゃあ、定例会議を始めようか。」
こうして、『
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