第19話 禁じられたスキル
どうして俺は気付かなかったんだ。
普通に考えたらわかる事じゃないか。
金川はランク2の冒険者。
ランクアップボーナスは獲得済み。
だとしたら【四面楚歌】の他にあと一つ、スキルを持っていて当然だ。
「【
禁じられているスキルは使えない。
だからないものとして俺に何も言わなかったってことか。
「それで、お前が禁じた程のスキルっていうのは何だ?」
「ああ、【魑魅魍魎】というスキルでね。残念ながら詳細は僕も知らないし、以前金川くんに聞いたが彼女も分からないそうだ。」
スキルは未だに謎が多い。
だけど、それにしても所有者にすら詳細がわからないスキルだなんて、名前も合間って不気味だな。
「以前、金川くんがこのスキルを使った時はギルド内にも関わらず、謎のモンスターが現れ、暴れ出した。私がスキルを禁じた瞬間、モンスターが姿を消したことから何らかの召喚系スキルだと私は睨んでいる。そこで謎のモンスターの正体を暴くべく、世界中のモンスターの情報を集めていたという訳だ。」
「なるほど…それでこの図鑑か。」
召喚系スキルの場合、普通は使い魔の様に意のままに操れるパターンが多い。
だけど暴れ出したということは、金川は操れていないということだ。
スキルを試すにしても正体が謎のままでは危険すぎる。
故に、世界中で確認されているモンスターの情報を集めたという事だろう。
「それで、謎のモンスターの正体はわかったのか?」
「いいや。残念ながら私が集めた情報では確認できなかった。」
結局、正体は分からず終いか。
それなら【魑魅魍魎】が解放されている事を伝えるより、禁じられたままだと思い込ませた方がいいかも知れない。
下手に教えて、試したりされたらどうなるかわかったもんじゃないしな。
少なくとも俺と金川、両方がランク3以上に上がってから試すことにしよう。
ある程度の実力がないと危険だ。
「そうか。まあ、何にしても情報は助かったよ。金川の件は俺も注意しておく。じゃあな。」
ひとしきり会話を終えて、用事が済んだ俺はギルドから立ち去ろうとした。
が、叡山に呼び止められてしまう。
「進、君さえ良ければ『
全く、呼び止めてまで何を言うかと思えば…
「行かねーよ。俺はランク2だ。そんな奴が大手ギルドの幹部だなんて冗談も大概にしろよ。じゃあ、またな。」
叡山のランクがいくつかは知らないが、『
俺みたいな雑魚を入れていきなり幹部だなんて冗談も大概にして欲しいものだ。
俺は背中を向けたまま叡山に手を振り、『
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