第2話 顔面偏差値SSR、それは神。
「急に黙り込むなんて、やっぱり汚れた庶民は友人もマナーがなってないのですわね」
「……」
「Aちゃん、大丈夫?」
「……」
やばい。2人とも顔面が天才すぎる。
なんでここにカメラがなんのか。カメラさえあればこの2人のツーショット写真を額縁にいれて家宝にするのに…
「ちょっと、本当にどうなさったの?」
「Aちゃん!しっかりしてぇ!!」
………
「はっ!!」
我に帰った。
そうだ。私はいま友人Aなのだった。ゲームのキャラの1人。
そしていまは、主人公と悪役令嬢のコミュに口を挟んでいる最中だった。
「すみません、意識がチャレンジャー海淵に潜ってました。いや、例え分からないか」
改めてアリスたんとヴァイオレットたんに向き直る。うわ。顔面偏差値良!なんかオーラ輝いてる!!
「ちゃれんじゃー?Aちゃん、突然どうしちやったの、体調悪いとか?」
アリスたん。
このゲームの主人公。
庶民でありながらスクールモードの舞台『聖ユーメティア魔法学園』に入学を許された、莫大な魔力を持つ。
ゆるふわキャラとその黄色のツインテールがかわいすぎる。でも、キャラ同士の好感度が高くなると発生する夜間交流イベント(R指定の恋愛ゲーなので意味深に表記しておく)ではそのツインテールをほどき、めっさ大人やんけ、大人の色気やんけ!!と多くのプレイヤーをギャップと言う名の沼に落としていった、罪深き天使……
このゲーム内では、出会うキャラクターのほとんどが攻略対象。私は全キャラ全ルート制覇済みの超やりこみプレイヤーだか、アリスたんの行く末も知っているわけで……
なんだろ。画面のなかの娘がこんにちはしてきたこの感覚。
アリスたん、君は私の中の世界では38人の人間に抱かれた(もしくは抱いた)よ。
「また黙り込みましたわね…本当、呪いの類いなんじゃありませんの?庶民が低俗なところから持ってきたに違いありませんわ」
ヴァイオレットたん。
このゲームの悪役令嬢兼攻略対象でもある。
承認欲求の塊で庶民であるアリスたんが注目されていることが気にくわないという理由から度重なる苛めを行っていた。
私もプレイ中、彼女に対してあまりいい印象はなかった。しいて良いところをあげるなら胸のでかさと顔の良さぐらいだ。
しかし!!スクールモードのヴァイオレットたんルートをやって印象が180度対称移動してしまったのである!なにあのかわいい幼女!もはや存在が幼女!
実は家族から本当の愛情を受けたかっただけなんて想いがもうかわいい。それをアリスたんが埋めてあげて、ヴァイオレットたんがアリスたんに依存してるっぽくなるのも当初の立ち位置と対称できてなおいい!
というかこの2人って体格的にはヴァイオレットたんが攻め、アリスたんが受けなんだよね。実際上はアリスたん、下はヴァイオレットたんなんだけど。え、よくない?神じゃない?
「あ~神かな…」
「Aちゃん!」「ちょっと!」
「はっ!!今度は意識がエベレストの山頂にいました。すみません」
アリスたんは心配そうに、ヴァイオレットたんは呆れたよいな視線を向ける。
やっべ。完全に変なやつじゃん。
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