第15話 孤独石鳥の夜

 酔いどれか。石にされた鳥が見える。大岩の上で大きく羽を広げた姿で、天から舞い降りたときのまま、その鳥は動かない。


「確かこの岩には名前があったのぅ」


 そう、孤独石だ。この岩に触れたものはみな石にされ、何百何千年もの間、孤独を強いられるという。その孤独石の上に、極楽鳥のように美しい鳥はいた。


「いや、ただの酔っぱらいの幻覚じゃろう」


 男は酒瓶片手に、何処かへと消えていった。


 極楽鳥が石にされ、何千何万もの夜が訪れた。ただ誰一人として、この極楽鳥に起きた不幸の物語を知る者はいない。誰も知ろうともしない。そんな孤独石鳥の夜が明けることは、遂ぞなかった。

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