第16話 ゆるそう

 旦那が夜中に急な腹痛を起こして、救急車で運ばれた。一刻を争う状況で見た夢が、今でも忘れられない。


『許してください! 許してください!』と誰かに必死に謝る夢。私は一体誰に謝っているのか分からなかったけど、とにかく必死だったのは覚えている。そうして聞こえた、『――ゆるそう』という誰かの声。


 翌朝、旦那は無事に回復した。今でもあの時見た夢の真相は分からないけど、いつかあの声の主の正体が分かる日が来ると信じている。


 ありがとう、私達をゆるしてくれて。

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