第13話 余計なお世話

社長「――秘書君や、我が社が上場してからどれくらい経つかね?」


秘書「そうですね、15年ほど経過いたしました」


社長「そうか。15年でここまで会社が大きく成長できたのも、ひとえに君のおかげだよ。どうもありがとう」


秘書「いえいえ、私は何もしていないですよ。すべては社長の人徳の賜物です」


社長「そうか。しかしなぁ、私に人徳があるのなら、こうして君の夢枕に立つ必要などないのだよ。さて、そろそろ私を殺した真犯人を吐いてもらおうか」


秘書「……それは出来かねます。その真相は、地獄の底まで持っていくつもりですので」


社長「そうか。こうして幽霊として出てきても、口を割らないか。君を救ってやりたかったのだがな」


秘書「ありがとうございます。ですが、それでも私は、この罪を暴かれたくはないのです」


 社長は誰に殺され、秘書は誰を庇っているのか。その真相が明るみに出ることはなく、翌朝、秘書の死刑執行が命じられた――。

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