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第7話
二度目に会ったのは、それから二週間くらい後のこと。
同じ学科の女の子たちに頼み込まれて、一度だけという約束で、リョウは「飲み会」に参加することになった。居酒屋で飲んだ後にカラオケに行くという。
リョウを狙っていた男の子たちによって、仕組まれた飲み会だとは夢にも思わず。
無理矢理酒を飲まされて、生れてはじめて酔っぱらってしまった。
なかば意識が飛びかけていたが、家にたどり着くまではしっかりしければいけないという強い意思によって、リョウは何とか意識を保っていた。
しかしそのうちに一人の男子学生に無理矢理居酒屋の外に連れ出された。
酔いを醒ますのに一緒に散歩しに行こうと言われて嫌がっていたところを、またまたたまたま通りかかったハルに救われたのだ。
そこまでは、かろうじて覚えていた。
でもそこからはほっとしたためか、全く記憶になかった。
二度目に会った人にほっとするものか?
でも、リョウは確かに、ハルを見てほっとしたのだ。
ただ……
次の日、リョウは愕然とした。
知らない天井、知らないソファ。知らない家で彼女は目が覚めて、一気に全身の血の気が引いて行った。
ざざざ、と音がしそうなほど青ざめた。
ソファの上で上半身を起こして呆然と座っていると、がちゃ、とドアが開いてハルが入ってきた。
彼は不機嫌そうに整った表情を曇らせてお説教を始めた。
「気をつけろって言ったよな? どうしてそんなに警戒心が薄いんだよ? あんなの、ミエミエだろ? それとも、わかっててわざとあのまま連れ出されたかったのか?」
寝起きの混乱した頭ながら、リョウはひゅっと息をのんで険しい顔で言い返した。
「まさか! どうしても一回だけ顔を立ててつき合ってって同じ学科の女の子たちに言われたから、仕方なく行ったんです。あんなとき、どう断ればいいのか……慣れてなくて、どうしたらいいかよくわからなかっただけです!」
「きっぱり! 行きたくないから誘わないで! って言えばいいんだよ。慣れてなくてもそれくらいはわかるだろう?」
なにか言い返したいのに何も言い返すことができずに、金魚みたいに口をパクパクと虚しく動かすだけのリョウは、いまにも泣き出しそうなほど瞳を潤ませていた。
ハルは深いため息をつくと、ソファに近寄ってひじ掛けに座るとリョウに言った。
「俺のこと、知ってる?」
リョウは首を横に振った。
「俺は
「あ、はい……
「ふうん。将来はWebデザイナーか何か?」
「そうなれるといいと思います」
「そうか。じゃあ、大学でこれから困ったときは、俺を利用していいよ」
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