第29話
「えーっと、眼鏡……は、柊先輩にお渡しした方がいいっすよね?」
「…………うさこの眼鏡外した顔見た?」
「え゛……い、一瞬だけ見ました…」
うさこ……って、多分川内先輩のことだよな…?
とりあえず「うさこって?」なんて聞ける状況じゃないし、嘘吐いたらそれはそれで面倒臭そうだなと思ったので正直に答えた。
「ほほほ本当にすみませんでしたっ、ありがとうございます…!」
柊先輩から受け取った眼鏡をかけ、俺から残りのノート類を受け取りながら川内先輩がまた頭を下げる。
「いやそんなっ、お怪我なくて何よりです」
そんな川内先輩に俺も頭を下げ返す…と。
ぽんっと頭に手を置かれて慌てて顔を上げると、柊先輩がかなりの無表情で俺の頭をわしゃわしゃし始めた。
「あ」
「え?」
なんか分からないけど試験に合格した気分だ。と思っていると俺の手元を見て柊先輩が声を発した。
「あっ、理嘉ちゃんが借りてたやつと一緒だね」
「それ、おもしれーの…?」
理嘉ちゃんって……え、会長本当にこの本借りてたの…!?
手元にある『カップラーメンの美味しい作り方!』をまじまじと見て、そして二人に視線を戻す。
「……カップラーメンの美味しい作り方が載ってました…」
「……うさこ、皐月が呼んでた」
「え、そうなのっ?」
やっべええ!! 俺今絶対滑った! 滑り過ぎてスルーされた!
「あ、名前何?」
「へっ!? あ、山本恵です…!」
穴があったら入りたい!! つーか、シャベルとかくれたら今ここに無理やり穴をあけてそこに入りたい!!
とか悶えてたら突然柊先輩に名前を聞かれて驚きながらも答えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます