第17話
兄貴も、今日は帰るの深夜になるんだろうか。
通話を切ると音を無くす。
一人きりの家。
こんな家、嫌い。
両親はもともと不仲な仮面夫婦で、物心付いた頃から家庭はほぼ崩壊していた。
しかも、両親揃って不倫。
今流行りのダブル不倫って奴だ。
…最高に笑える。
兄貴が高校に上がったのと同時に離婚し、この家にお金と実の子供二人を置いて出ていった。
それぞれの行き先をあたしは知らない。
どうでもいい。
兄貴が居てくれたから。
あたしには、あいつが居てくれるから。
自分の部屋のベッドの端っこで体操座りをして、服がしわくちゃになるのも厭わずに、自分を抱き締めるように腕を回して目を閉じた。
会いたい。
会いたい。
力いっぱいに抱きしめて欲しい。
その低い体温に包まれたい。
……嶺亜に、会いたくてしょうがない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます