第34話



胸がざわつく。




そんな女に、近寄る男。




「っっ、ナンパ待ち、か……?」




失望の声が零れ落ちた。




ただのナンパ待ちなのかと眉をひそめた俺だったが、それは次の瞬間には、一変する事になる。




「……あ?」




一瞬だけ男を見上げた女は、直ぐに視線を元の人混みに戻した。




興味がないと言わんばかりに。




ただ、ただ、女は目の前の人混みだけを見つめ続けた。

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