第33話



それだけの事なのに、なぜだか俺の目を引いた。





今にも壊れてしまいそうなぐらい細く華奢で、小さな身体。




でも、一番、俺の目を引いたのは、女の寂しげなその瞳だった。





「あれは、」




諦めと、絶望。





俺達の世界では、日常に見る瞳だった。





濁った目。




欲望にぎらつく眼差し。





そんな人間の目を見飽きた俺なのに、なぜか女の瞳の事が気になった。

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