第32話



あの日は、俺がたまたま裏の仕事で夜の街を歩いて時だった。




「うん?」




ふと、目に付いた女。

 


 

ーーーーそれが、莉茉だった。




今にして思えば、あの日、お前を見付けたのは、運命の導きだったのかも知れないな。





笑ってしまうけど、本気で思った。




「…………?」




何、やってんだ?




俺はその場に立ち止まり、首を捻った。




人で行き交いで溢れる街の中で、ただ人混みを座り込んで見つめる女。

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