「……莉茉ちゃん…。」

………あぁ、……

この子の世界は狭く。

残酷で。

もの悲しいものだったのだろう。

資料からは見えないほどの、沢山の痛みを味わい、苦しんでいたのかも知れない。

「っ、だから、暁への気持ちも上手く伝えられなくて。」

「不安になる？」

「………はい、こんな私をいつか暁は面倒になって、嫌われるかも知れないっ。」

「大丈夫よ。」

きっぱりと断言する私に、ゆっくりとすがるような莉茉ちゃんの視線が向けられる。

「暁は、何があっても絶対に莉茉ちゃんを手離したりしたいわ。」

「………。」

「大丈夫、これだけは断言が出来るもの。」

あの子が、莉茉ちゃんを手離したりするものですか。

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