第3話
「はい、人の愛し方が…。」
目線を落とした莉茉ちゃんが、目の前に置かれたカップの縁をなぞる。
その姿は、儚げで。
愁いを帯びていた。
「お母さん?」
「うん?」
「少し前までの私の世界は、本当に狭かったんです。」
「狭かった?」
「家と学校、……私は、嫌われ者だったから、人と接する機会か少なくて…。」
莉茉ちゃんが自嘲の笑みを浮かべる。
「諦めたんです。」
「………何を?」
「人に何かを期待する事も、思いを伝える意味もなかったから。」
莉茉ちゃんが、冷たい目をした。
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