第5話 昼休みの秘密特訓


 僕は左手の人差し指に、魔力を集中させて、その性質を変化させる……。


 すると、魔導士の指輪を中心に、集めた魔力が黒い光を放つ────



「これを……」


 僕はそのエネルギーを、校舎裏に生えている木に向かって撃ち出した。



 ────ドヒュン!!!


 イメージは空気砲だ。

 実際に見たことは無くても、イメージは出来る。


 僕の放出した魔力エネルギーは……。

 撃った瞬間に、木にぶつかった。



 ……。


 …………。


 だが、それだけだ。


 木には、何のダメージも与えられなかった。


 僕は試しに、少量の魔力を込めて自分の右腕を撃ってみた。



 どっ!


 ────ダメージは無い。

 



 魔力がぶつかった感触はあるが、痛みは無い。


 闇だから、かな?



 ……質量が無いんだ。


 …………。



 だったら────


 僕はもう一度イメージを練り直し、指輪に魔力を込める。


 イメージは質量のある闇──

 黒色の弾丸。

 

 ────ズオッ!!



「……ッ!」


 魔導士の指輪の側……。

 僕の手の平の上に、黒色の鉱石のような塊が出来上がる。




 僕は左手を、銃のような形にして構える。


 さっきと同じ木に、狙いを付け。



 発射する。


 ────ドウッ!!!!






 ……。


 …………。



 僕が発射した魔法の弾丸は、木を抉り、めり込んでいた。



 しゅ~~~~~!!


 木の抉れている箇所から、熱が放出されている。

 

「…………すごい、威力だ」



 この攻撃は、武器として使えるだろう。









 もっと練習しておくか────

 

 僕はもう一度、弾丸を作り狙いを定める。


 狙うのは地面にしておく、木を傷つけまくると、後々問題になるかもしれない。




 ドウッ!!


 地面に向かって撃った魔力弾は、二十メートル先に着弾して砂煙を上げる。




「もう一度……」


 今度はもっと弾を大きくし──

 射出時に使用する魔力も、多めに込める。


 僕は左手で指鉄砲を作り、右手を添えて固定する。




 腕をまっすぐに掲げて、狙いをつける。

 指輪に集めた魔力で作った黒い弾丸を、先ほど抉った地面に向けて撃ち出した。





 ドゴッォオオ!!!!!!


 土塊が舞上がる。


 黒の弾丸は高速で射出されて、地面を三十センチほど抉っている。


「…………これ、凄い威力だよな?」





 威力は申し分ない。 


 だが──

 今の一撃で、かなりMPを消耗した。


 MPを消費すると、精神的に疲れるようだ。


 ……これを続けると、授業に差支えが出てしまう。

 




 もっと練習したかったが、ここらへんで切り上げよう。


 MPは自然回復するらしいが、時間がかかる。


 練習で疲れ果てては意味がない。

 本番は今夜、ゲーム世界に入ってからだ。



 回復するまで、連続使用は控えよう。







 学校が終わり自宅に帰った僕は、宿題を終えてからベットに横になって仮眠を取る。────睡眠は小刻みに取っても効果があるらしい。


 夜はまたゲーム世界に行くつもりなので、少しでも回復しておきたい。



 …………。


 ……。



 ドアをノックする音で、目を覚ます。


 寝ていたら、仕事から帰った母に起こされた。






 夕食の準備が出来たので、呼びに来てくれたようだ。


「────なに、寝てたの? 呼んでもなかなか来ないから、心配したのよ」




 今度から仮眠をとるときは、目覚ましをセットしてからにしよう。



 夕食を取り風呂に入ってから、準備を整える。

 準備といっても、ゲーム機のネックレスを、身に付けるだけなんだけど────


 僕はゲーム機のネックレスを見る。

 ネックレスは紐に、水滴のような綺麗な石が付いているだけの代物だ。



 ……。

 

 このゲーム機は電源もいらないし、起動ボタンもない。

 こんなもので、リアルなゲーム世界には入れるなんて……。

 



 今更ながらに、不思議に思う。


「ほんと、どういう原理なんだ、これは……?」



 どこのメーカーが作っているんだろう?

 こんなのが販売されたとか、ニュースで見たことないんだよな。



 ……。


 ……まあ僕は元々ゲームに詳しくない。

 だから知らないだけで、最新のゲーム機はここまで進化していたんだろう。


 技術の進歩は目覚ましい。







 僕はゲーム世界に入る為に、眠りに就いた。



 ────そして、目を覚ます。


 無事にゲーム世界に入れた。

 ここは、宿屋の一室だ。



 まずは、ステータスをチェックしよう……。


 ステータスを見てみると、スキルが沢山追加されていた。


 

 僕の狙いは、当たっていたようだ。




 ────さて、今日はどうしよう?


 冒険者ギルドに行っても、どうせ仲間募集の応募者はいないだろうし────


 村の外に出てみようかな。



 ……。

 

 ……よし、決めた!



 ────僕は装備を整える。


 そして、最初の冒険に出かけることにした。




 *************************


 名前    タナカ ジロウ           

 

 職業      冒険者Lv01 魔法使いLv01                       

 戦闘タイプ     特質系 時空間能力者

 魔力属性        闇  

 


 最大HP       140

 最大MP       670


 膂力         28

 体力        130

 魔力        830

 俊敏         26

 命中         55


 精神力       125

 運          70

 魅力        115       



 装備

 旅人の服 旅人の靴 旅人のマント 冒険者の盾 魔導士の指輪 勇者のネックレス


 スキル

 魔力操作 魔力属性変化 魔力具現化 魔力放出


 魔法

 なし


 特技

 ダークショット


 所持金

 金貨0枚 


 ボーナスポイント

        0


 *************************


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