第8話
ちまりside
四限の講義を終えて教室を出る。
勉強は好きだ。
知識を身につければ出来ることも増え、お金も多く稼げるようになる。
まだなりたいものは見つけられていないけれど。
さて。
後二時間ばかり大学の構内外を掃除して今日の大学は終わりだ。
帰りに大学と養護施設の間にある激安スーパーで買い物を。
やはり食べ盛りの子供たち。
食費が一番かかる。
だから、安いものをどれだけたくさん買えるかが腕の見せ所だ。
夜ご飯は買い物出来たもので決めるから、今は考えない。
「キャーーッ!!」
「誰アレッ!?」
他に何か要るものはなかったかな?
「見たことないっ。誰かを捜してる!?」
「あたしでしょ!?」
「ヒャアアアッ!!なんかガラスの靴を待つシンデレラの気分!!」
洗濯も毎日大量にする。
洗濯洗剤も買わないと……か?
いや、さすがにそれは私の腕がもげるな。
講義が終わったばかりの廊下は生徒でなかなかゴッチャ返していた。
それを避け避け階段に向かう。
それにしても今日はいつもより周りが騒がしい気がする。
なんだ……ゲッ!?
何かあったのかな?と周りを見渡していると、階段の下に園崎が居るのが見えた。
目が合う。
その瞬間、ニターッと粘っこい笑顔を浮かべる園崎。
ハァ〜〜。
行きたくない。
でももう一つの階段は長い廊下の先の突き当たりだ。
わざわざそこまで行くのは時間のロス。
それに逃げたと思われたくない、絶対に。
珍しく取り巻きはおらず、一人だ。
それならばまだなんとか……。
そう思って階段を下りようとした瞬間。
「キャーーッ!!こっちに来るわよーー!?」
「あたし!?あたし!?」
ドンッ!!
「!!??」
誰かにおもいっきりぶつかられた!!
嘘!?
身体が宙を舞う。
落ち……る!!
反射的に目を閉じようとした時、ここに落ちてこい!とばかりに両手を広げる満面の笑みの園崎が見えた。
その姿はまるで、私が落ちることを知っていたみたいで……。
まさ……かっ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます