第6話

そうあの男は自分のことで私がイジメられているのを見て楽しんでいるのだ。



そんな奴を誰が好きになるというのだろう。


最低の男だ。




「やだぁ、野蛮!!床に唾を吐いた!!」



「汚っ。まぁでも自分で掃除するんだし良いんじゃない?」



「「キャハハハハハッ!!」」




耳障りな甲高い笑い声。




「オイオイ、だから未来の俺の嫁をイジメるなって」



「……」



「コレも捨てといてーー」



「もう、お腹いっぱい。いらなーい」




バシャッ!!



グシャッ!!




手に持っていたコンビニコーヒーを投げつけられ、もう一人は手もつけていないだろうサンドイッチをわざわざ袋から出して床に叩きつけ、足で踏みつけた。




「もったいないことしてんじゃねぇよ」



「ハッ!?」



「ハァァ!?」




食べ物に罪はない。


全く手もつけず踏みつけるなんて信じられない。




「ああ、孤児にはコレを買うのも一苦労よね」



「食べてもいいのよー、あたしの足跡がついてるけどー」



「「キャハハハハハッ!!」」



「ちまり」



「名前を呼ばないで下さい」



「俺のツレが悪いな、コレで機嫌を直してくれ」




ニヤニヤと近づいてきた園崎が差し出してきたのは一万円札。




「いりません」




そこの女達みたいに金で全て解決出来ると思うなよ?




「そう言うなって」



「いい加減にしてください。掃除するので退いて下さい」




もう私は、三人の方は見ずに掃除を始める。




ヤレヤレと肩を竦めた園崎は、これみよがしに女に一万円札を渡しこの場を去っていく。




「きゃー、ありがと!!剛史!!」



「剛史、あたしにはー?」



「はいはい」




そんな三人の後ろ姿を睨みつける。



顔、覚えたからな。



私の心の仕返しノートに二人の顔をしっかりと書き込んだ。



園崎?


奴は仕返しどころではない。



暗殺……ゲフンゴフンッ。

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