第4話
そこには、
高校の時から一緒で、一つ年上の先輩。
大企業・園崎グループの御曹司らしく、何かと言動が鼻につく。
はっきり言って大嫌いなタイプだ。
流行りのパーマに染めすぎて傷んでいる金髪。
どこかのブランドのサングラス。
中肉中背のどこにでもいるような容姿。
けれど本人は『モテすぎて困る』
などとほざいている。
まぁ、常に女のコが二・三人は側にいる。
その女のコ達の目的が園崎自身とは限らないけれど。
今も今とて、二人の女のコが園崎の腕に自分の腕を絡めしなだれかかっている。
そしてこっちを睨んでくる。
あたしがイジメられるもう一つの要因。
高校の入学式の時から、何故かこの男に気に入られた。
『俺の女になれ』
いきなりそう言われた時の不快感は今でも覚えている。
そして
『孤児なのに、俺の女になれることを光栄に思え』
とも言われた。
ふざけるな。
だからすぐに断った。
けれどそれが奴には新鮮だったのか、更に付き纏われるハメに……。
奴が卒業した時はどれだけ嬉しかったか。
なのに同じ大学って……。
大学内で奴に会った時は……絶望した。
そして私を良く思わない、奴の取り巻きの女のコ達に嫌がらせをされる日々がまた始まったのだ。
こんな男のために自分の品位を貶すなんてバカだなぁと心底思う。
「おはよう、ちまり。今日も可愛いねぇ」
ニヤニヤ笑いながら言われる。
何もかもが不快だった。
その笑いも、サングラスの奥の舐めるように見てくる目も。
「名前で呼ばないで下さい」
「ちょっとっ!!何その態度!?」
「剛史がアンタ如きに挨拶してるんだから、挨拶しなさいよっ!!」
アンタ如き……ねぇ。
「オイオイ、俺の未来の嫁をそんなにイジメてやるなよ」
「そんな未来、一生きません」
「フフッ。また照れて、可愛いねぇ」
ハァ……。
私は大きくため息をつく。
これだ。
この男は全く話しが通じないのだ。
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