第3話

大学に着く。



真っ直ぐ向かった先はキャンパスではなく、スタッフルーム。



今日の講義は三限目と四限目。



まだまだ時間はある。



時間のある時は、キャンパス内の掃除のアルバイト。



お金も稼げて、勉強も出来るというありがたさ。



学費と養護施設の少しでも足しに。




「キャハハハハハッ!!」



「夜の合コンだけどー」




キャンパス内を颯爽と歩く同い年くらいの女のコ達。



綺麗に着飾っていて、自分とはえらい違いだ。



それに……私にはあんな風に話せる友達が居ない。




捨て子の養護施設育ちということで、ずっとイジメられてきた。



言葉の暴力、身体への暴力。



小学生の頃はただただ泣いていた。


でも逃げたら負けだと思って、歯を食いしばって学校へ行った。



中学生の頃は、施設のちょっとグレたお兄ちゃんが守ってくれたりしたけれど、やっぱり見えないところで叩かれたり、水を掛けられたりした。



『汚い』って。



まぁ、その頃には反撃をすることを覚えてちょくちょく反撃してたけど。



高校は少し遠いところに通わせてもらえることに。


でも結局はイジメられた。



必ずバレるのだ。



捨て子だと。



もう大々的に反撃はしていたけど、死にたくなることもあった。



疲れたと思うことも。



それでも頑張れたのは、生きれたのは“約束”があったからーー。



十年以上前の約束。



バカみたいにひたすらそれを信じて頑張ってきた。


本当にバカみたいに。



でももう




「忘れられてるんだろうな」




手紙を書いても返事は一度も返ってこなかったし……


もちろん会うこともなかった。



苦笑いとともに小さく呟いた言葉。
























「なぁーにが忘れられてるってぇー?」



「っっ!?」




突然、後ろから耳に息を吹き掛けるように話しかけられる。



気持ち悪さに全身の毛という毛が逆立った。



耳を押さえてその場から急いで離れる。




「……園崎さん」

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