意味が分かると怖い冒険(ショート)

沼津平成

王冠の心

 王女と勇者のお見合いもいよいよ後半に入り、二人は対談に入りました。執事も去っていきました。執事の素敵な贈り物のおかげで、ここまで大成功よ……。王女は笑みを浮かべて勇者と対談を始めました――。


 王女「どうでしょう。私の王冠は。きれいでしょう?」

 勇者「王冠にも心はあるのか?」

 王女「あら、知らなかったの……」

 勇者「ああ。僕の旅の中で【心のある王冠】なる品を見たことなどない」

 

 王女は疑問に思いました。なぜ? 私の王冠はそれほど名品なのかしら?


 勇者が帰った後、王女は取扱説明書を見ました。こう書いてありました。


「この王冠を被ると、被った人の心はたちまち醜くなります。しかし王冠はきれいなのです。お見合いなどにいかがでしょう? この、きれいな王冠を。」


『人は本当の心で判断すべきだ……』


 王女と、あと二人、声が重なりました。

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