壊れた祠を知られた結果

「話は聞かせて貰ったよ」


「あんだけ言っただろうに。祠に近付くんじゃないって」


「君のお父さんは、君に何も教えなかったんか?」



「なあ」


"祠オジイがそこにいた"


"圧倒的な存在感だった"


「聞いとるんか?ワレゃ」


"もう今や、この場の恐怖は"


「小僧」


"祠オジイが、その全てだった"


"どうしよう、ボクらが殺したわけじゃない"

"でも祠は壊れてて"

"そして、ここにはボクらしかいない"

"どうしよう、どうしよう"


「待て!!」


「ああん?」


"キミが割って入る"

"でも違う、そうじゃない。今ここではきっと違うんだ"

"何かは分からないけど、ボクの中で警鐘が鳴っていた"

"今この場でやるのは"


「ご、ごめんなさい……」

「なんでオマエが謝るんだよ!俺達じゃないだろう!」


「そうか、君らじゃないんか……



なんてのは知ってんだよ!!!」


"轟音。でもそれは風が吹いただけだ"

"だけどボクは明らかに震えていた"

"違う、違うんだ"

"でも言葉にできない"


"わからない"


「なんも分かっとらんヤツは、すっこんどけや」

「何がだよ」


おめぁお前は分かっとらんのらんだら、ねや」


"そうオジイが入った瞬間、キミは吹き飛ばされる"

"そして、それだけでピクリとも動かなくなる"


「こんなカンカンだらけにしくさりおってからに……」

「わかっとんのか?言うたよな?ここの祠は絶ッ対に触っちゃいかんと」

「それを色んなモン連れてきおって、そっでこれだ」


"さっきまで回っていた頭が回らない"

"何も考えられない"

"それでも何か言わなければ 言わなければ"


「な、なおします……」


「ああん?」


「祠、直しますんで……」


「そういうことやないんよなぁ……」


"ダメなのか?ボクも、私も、ここで死ぬのか?"


「いや、まあええか」


"……?"


「いやな、祠を直すってなら丁度ええわ」


「帰りぃ。んで、父親に話しぃや」

「祠が壊れたで直すって」


「絶対に伝えておけ。それが責任や、と」



"そこから、どうやって帰ったのか、他の人には何を話したのか、何も記憶にない"

"ただ、間違いなく言えることは、そのとおりにしたという事だけだ"

"こうやって、私が、本堂に幽閉されているのだから"

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