ボクらも祠を覗きに行こう
「
"ボクらを除く、最後前のグループが帰ってこない"
"とはいえ、帰ってくると同時にイチャついてどっか行くヤツらも居たから、まあ大体そんなもんだろう"
"藪蛇をつつくものでもないが、進行を遅らせるリスクは取れない。祠オジイがいつ帰ってくるか正確に知る人はいないのだ。それ込みでのスリルなのだ"
「しょうがない、ボクらも行こっか?」
「お、おうよ……!」
"途中で何かあった場合でも最悪、後発のグループが探すなりケツを引っ叩く役割も果たせる。その意味でも、そろそろ出発するのがいいだろう"
"というわけで、ボクら二人も出発することにした"
"しかし、強がる返事が かわいい"
"まあそんなことは兎も角、まずは裏山に行く。缶を置いてくるまでの道すがらに、缶を落としてないかもチェックする。まず無いとは思うけど"
"とはいえ、そんな事ばかり考えててはムードもへったくれもない。楽しまなくっちゃ"
"とはいえ流石に時間も遅く、暗い以上に気温も下がってくる"
"あんまり肌寒いのは好きじゃない"
"急ぎすぎず、遅すぎず。普通のスピードで僕らは祠に向かっていった"
「しかし、どこに行ったのかねえ……」
「わっかんねぇな……ここから祠なんて一本道みたいなもんだろ?」
"そう、実際に山を入ってしまえば、祠までは一本道みたいなものだ"
"裏山とは言うけれど、山だって持ち主がいて、大抵は管理された里山なのだ"
"近くに住んでる祠オジイ以外の人だって、山に入るには入る……"
"とはいえ、古くから住んでる人は、入る時に手を合わせて入るけど"
「どうも居ないみたいだねぇ」
「だな……」
"とはいえ、規模に関わらず山は山。動物が飛び出してくることもあるかもしれないし、道から外れてしまえば遭難する可能性もゼロではない。あんまりムードは壊したくなかったんだけどなぁ……やれやれ"
"とは思いつつも、流石に前のグループ2人の名前を呼びかけながら進んでいく"
"これで驚かすために潜んでるとかだったら、ちょっと怒ってやりたいところだ"
"そうでないにしても、まあ変な事をしてるなら知ったことじゃないと言いたいところだが……最悪の場合は山探しになる。企画者のボクらも迷惑を被る"
"そうでなくても、死体になって出てきたら冗談にもならない。ミイラ取りがなんとやらというやつだ。ここはエジプトじゃなくて現代日本だよ?"
"なんて言いつつ、少し手が震えてくる"
「……うあっ!?」
「す、すまん!」
"突然に手を握られる"
"やだなあ、こんな時にそんな事をされちゃあ……ドキドキしちゃう"
"どうせなら、もっと早くしてくれれば良いのに"
"今はそういう気分じゃない、なんて思いつつ。そういう気遣いができるからボクは好きなんだよな……と、むず痒いような二律背反に陥る"
「……いや、ありがとう」
「おう……」
"普段は気が強い、でもこうやって気付いてくれる"
"そんなキミだからこそ、こうやって組んだんだよ"
"でも、それはそれとして、二人を探さなきゃ"
"そんな気持ちを組んでか、キミも精一杯の大きな声で二人を呼ぶ"
"ばかだなあ、祠オジイでなくても誰かが気付いちゃうかもしれない"
"でもまあ、それくらいなら、いいか……"
"そう思っていたんだ"
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