シェイプシフター③

 10分経つと、編成画面が閉じられる。


 戦略を考えるフェーズに入った。


 編成タブが開き、俺のデッキがスクリーンに移される。


 もう動かせない。


 その下に敵のデッキも表示された。


 ソウルマスターのソシャゲの時でも、デッキは直前でお互いに閲覧出来るようになっていたから、仕様通りではある。


 敵のデッキはテケリリの言った通り、俺に出されたカードと似たようなカードから選ばれている。


 しかし、編成が大分違う。


 敵は俺が外したのと似たようなSSRを2枚組んでいた。


 時間が来て、スクリーンがさっきの試用期間と同じ、対戦画面に切り替わる。


 これが本番だ。


 シェイプシフターの前にも光のスクリーンが映し出される。


 緊張しながら俺は、シェイプシフターと対戦を始めた。


           ◇


 ――30分後。


 俺は、大差をつけてシェイプシフターを倒した。


 ほっと胸をなでおろす。


「オ前ノ、勝チ」


 スクリーンには、大きく『YOU WIN!』と表示されている。


 シェイプシフターは、かつて、このゲームでやりこんでいた俺の敵ではなかった。


 今のところは。


 やはり、俺の捨てたSSRに類似したカードあたりが足をひっぱていた。


 しかし、敵の動きはセオリー通りではある。


 少なくとも、このゲームを理解している。


 いいカードを積まれたら、まずいかもしれない。


 すると、シェイプシフターが、上から押しつぶされたみたいに、びしゃんと、地面に飛び散った。


 跡形もなく消滅する。


「やったか」


 気づくとバトルフィールドはなくなっていた。


 テケリリの目は光ってスクリーンが映ったままで、横並びのカードが映し出されていた。


 さっき倒したシェイプシフターの使っていたカードだ。


「報酬ダ。受ケ取レ」


 タブに『カードを受け取る』とある。


「これ取ったら、俺のカードがなくなるとかないよな?」


「ナイ。受ケ取レ」


 俺はタブを触って、カードを取った。


 そのまま、スクリーンを見る。


 編成の欄にいくと、初期に選んだ15枚と、今、手に入れた15枚、合わせて30枚ある。


 俺は手持ちになったカードを1枚1枚確認していく。


 新しく入ったSSRは、俺が捨てたカードの、イラストと属性と種を変えた、ほぼ同性能のものだ。

 これもデッキに入れない。


 やむなく使っていたRを抜き、手に入れたSRに取り替え、すべてSRのデッキになった。

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