『鋭い眼差し』
店内に入り周囲を見渡す。夜のピークが過ぎたのだろう店内は客入りが疎らになっており、その中に良さげなカウンター席を見つけて座る。
新たな客となった私の元へ店員がお冷やを持ってくる。
「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」
お冷やをカウンターに置き、接客の言葉を終えると店員は下がって行った。私は置かれたグラスに入ったお冷やを少し飲み一息つく。
普段訪れる書き入れ時ならば決まったメニューを即座に注文するのだが、こういう時はいつもは気にしないメニュー表を見て食べたい物を決めるのもいい。
メニュー表を見ると、そこにはいつもなら選択肢にも上がらない様々な商品が載っていた。期間限定品はもちろんのこと、トッピング物や定番から外れた変わり種の品。
こうも種類が多いと決めるのにも苦労する。
私はメニュー表の商品をひとつひとつ真剣に見つめ、そして腹に頭に何が食べたいのかを聴く。こうしていると、この一回の注文が大事なものに思えてくる。
食べたい物を決めた私はさっそく店員を呼ぶ。
「ご注文をお伺いします」
注文を受け取りに来た店員に私は告げた。
「牛丼並盛り、お新香セットで」
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