『放課後』
「先生さようならー」
「はい、さようなら」
連絡事項を通達しホームルームを終えた教室はすでに放課後の様相を呈していた。律儀に挨拶をくれた生徒に返事を返し、私は賑やかになった教室を後にする。
職員室までの道のりは階段を含め300メートルほど、普段より速めに歩けば3分で到着できる。
残り時間は少なく、ここからは忍耐力が試される。そう、私は今からロッキーになるのだ。
厳しいトレーニングに耐えるロッキーに自分を重ねながら廊下を進む。頭の中では勿論あの曲が鳴り響いている。
残り100メートルを切ったところで唐突に試合のゴングが鳴った。急な事態に驚きはしたが私の行動に変わりはない、ただ歩くだけだ。
まずは挨拶のジャブ、それからジャブ。たまにストレート。執拗なまでのボディへの攻撃が私の気力を削っていく。
しかしてついに「職員室」のプレートを掲げる扉の前までたどり着いた。だが今の目的地は職員室ではない。私はそのまま直進し、職員室の隣にあるピクトグラムが示す空間へと入って行った。
The final bell 私は勝利を確信して座り込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます