『涙の理由』
「卒業式終わっちゃったね」
それぞれ仲の良いグループに分かれ話に花が咲く教室の中、私は隣の席の幼馴染に声をかけた。
「終わったねー。そうだ、せっかくだしお昼はちょっといいとこに食べに行こうよ」
「それいいね、どこがいいかなー」
小学校から高校まで奇跡的に同じクラスだった私たちだったが、さすがに大学まで同じとはならなかった。
ならば残り少ない期間をどう過ごそうか、まず今日の昼食から、そう考えていると-
「それにしても、ほんと泣き虫だよねー」
涙のせいで赤くなっているだろう私の目を見て幼馴染が笑いながら言ってきた。涙なんて自然と出てくるのだから仕方がないじゃない、そう思いつつ返事をする。
「違うってば。もう、そのいじり何回目よ」
「ごめん、ごめん」
気の置けないやり取りに楽しさと一抹の寂しさを覚える。
春。別れそして出会いの季節。
くしゅん、ずびび。
とりあえずお昼は花粉が少ない場所にする。絶対に。
2024/10/10
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